パリ　フランス　個人的回想　ガートルード・スタイン

パリ フランス - 個人的回想
ガートルード・スタイン/和田旦
みすず書房 1977

この『パリ フランス』はピカソをはじめ数多くの人びととの交友のエピソード、とりわけ彼女が住んだベレ地方の有名無名の知人との心温まる会話に満ちているのですが、やはりフランス人のファッション好きやフランス料理、戦争観等の多彩なエピソードを交えた文明論、文化論として読むべきものかと思います。
読み進むうちに、今日の日本、日本文化というものに或る反省をうながし、我々の西欧文明、文化に対する理解の浅さ、視点の誤りを静かに、ささやかに、だが見事に示してくれる本だと信じます。
ヘミングウェイやピカソの天分を発見したといわれるスタインは、実はフランスの文化、文明を通じて二十世紀そのものを発見したのだということを、著者の作品としては比較的マイナーなこの本、『パリ フランス』は我々に語ってくれるのです。（あとがきより）

目次
第一部
第二部

アメリカ生まれだが1903年から40年近くパリに住んだ詩人・小説家のスタインによる回想録。1940年にロンドンで出版されたこの本は、ナチス・ドイツがパリを占領したこの時に「やらなければならない必要なことをこれからおこなおうとしているフランスとイギリスに」献げられている。だから、これはレジスタンス文学でもある。
この本では有名人は、会話の相手としては出てこない。庶民やお百姓と交わしたおしゃべりの内容を鮮明に記憶しているのに、まず驚いてしまう。フランスの犬、政治、料理法、男の子と女の子について、逸話と歴史をまじえて物語る、そのユーモアと落ち着きを忘れない語り口のため、いつ読んでも和やかな気分にさせられる。

全体的に経年の汚れが見られますが中はきれいです。

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